肝臓
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経静脈的造影超音波が術前診断に有用であった胆管腫瘍栓を伴う微小肝細胞癌の1例
辻本 達寛飯岡 弘伊浪崎 正豊川 泰勲鶴薗 卓也松村 吉庸安井 智明山中 若樹福井 博
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2002 年 43 巻 11 号 p. 507-512

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抄録

症例は65歳, 男性. 既往にC型慢性肝炎がある. 2000年11月頃より黄疸, 右季肋部痛が出現し増強するため当院を受診. 腹部超音波 (B-mode, カラードプラ, パワードプラ), dynamic-CT, MRI等にて肝門部より総胆管中部にかけて乏血性の腫瘍を認めた. 同部位に対し経静脈的造影超音波検査を施行したところ, 動脈相で血流シグナルの増強を認め胆管腫瘍栓を伴う微小肝細胞癌が疑われた. 治療は肝右葉前区域切除, 肝外胆管切除術, 肝管空腸吻合術を施行した. 病理組織診断は高分化型肝細胞癌であった. 画像診断の進歩にもかかわらず胆管腫瘍栓を伴う肝細胞癌, 特に閉塞性黄疸を初発症状とする症例では診断が困難となることが多い. 経静脈的造影超音波検査は胆管内腫瘍の質的診断に有用であると考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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