2003 年 44 巻 1 号 p. 32-36
症例は42歳, 女性. 3種類の異なる漢方薬, 柴胡桂枝乾姜湯, 喜谷実母散, 女神散をそれぞれ異なる時期に内服し, その都度肝障害がみられた. これら3剤の構成成分は類似しており, 3剤共通は3種類であったが, 特に喜谷実母散と女神散では9種類が合致していた. この3剤の内服によりその都度肝障害を起こしたことは, チャレンジテストによる肝障害発現に相当すると考えられ, これらの漢方薬による薬物性肝障害が強く疑われた. 漢方薬の投与時にも肝障害の発現には充分注意し, 肝障害出現時には, 合剤としてだけでなくその構成成分も考慮して対処する必要があると思われた.