肝臓
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von Meyenburg complex を伴う原発性肝癌の1例
住吉 一浩竹下 篤野田 直宏芥川 寛江頭 由太郎井上 仁林 道廣谷川 允彦小島 博宮地 克彦本合 泰芝山 雄老
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2003 年 44 巻 11 号 p. 571-578

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抄録

症例は52歳, 男性. 結節状の線維増生を伴う胆管の集簇巣である von Meyenburg complex (VMC) を伴う原発性肝癌症例 (胆管細胞癌および混合型肝癌) を経験した. 胆管細胞癌結節 (S6, 直径約5mm) は印環細胞を伴う比較的低分化な腺癌細胞で構成されており, その結節中に存在する陳旧性のVMCの胆管上皮細胞と腺癌細胞との間には移行像が認められた. 一方, 混合型肝癌結節 (S8, 直径約15mm) では, その内部に明らかなVMCは認められなかったが, その大部分は胆管細胞癌であり, 一部が肝細胞癌の像を呈していた. したがって, S6の癌結節はVMCの胆管上皮細胞から発生した胆管細胞癌であり, S8の混合型肝癌は胆管細胞癌の一部が肝細胞癌の形態を呈するようになったものである可能性が考えられる.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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