肝癌無治療例の予後を知る目的で, 近畿地区を中心に22施設の協力により, 1990年以降に来院し治療の施行されなかった195例の肝癌患者を対象として, その肝障害度や進行度による生存率を検討し以下の結果が得られた.
1) 年齢は31~89歳 (平均66.3±11.1歳, 中央値66歳), 肝障害度Aが15%, Bが32%, Cが53%であり, 画像病期はI: 12%, II: 24%, III: 19%, IV-A: 29%, IV-B: 16%であった.
2) 無治療例全体の1年生存率は31%, 3年生存率は10%, 5年生存率は3%であった.
3) 肝障害度AまたはBかつ画像病期I (13例) における1, 3, 5年生存率はそれぞれ82%, 56%, 56%, 画像病期II (18例) では, 59%, 30%, 0%であった. 画像病期III (20例)では42%, 8%, 0%であった.
4) 肝障害度Cかつ画像病期I (8例) の1, 3, 5年生存率は60%, 23%, 23%であり, 画像病期II (26例) では46%, 12%, 0%, 画像病期III (14例) では31%, 8%, 8%であった.
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