肝臓
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皮質盲による視力低下を来した肝性脳症の1例
江口 有一郎岩根 紳治川副 広明小林 由実安武 努水田 敏彦尾崎 岩太藤本 一眞山本 匡介
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キーワード: 皮質盲, 肝性脳症
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2004 年 45 巻 8 号 p. 423-427

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抄録

肝性脳症の一症状として, 皮質盲を生じた非代償性肝硬変の症例を経験した. 症例は49歳, 男性. C型肝硬変, 再発性肝細胞癌にて当院通院中であったが, 急速な両側視力の低下を生じ来院. 血液検査にて高アンモニア血症を認め, 理学所見も併せ, 肝性脳症II度と診断した. 両眼の視力低下の原因として, 視神経・動眼神経・眼底・眼球には明らかな異常所見を認めず, 急性の視力障害であること, 頭部MRIにて両側視力を低下させうる病変がないことより臨床的に皮質盲と診断した. 入院後, 肝性脳症に対する加療を行い, 肝性脳症の改善と共に視力低下も速やかに回復したことより皮質盲の原因として肝性脳症の関与が示唆された. 肝性脳症の一症状として皮質盲を生じることは非常に稀であり, 多彩な臨床像を呈する肝性脳症の病態を考える上で示唆に富む症例と考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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