肝臓
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羽ばたき振戦と肝性脳症を呈した自己免疫性肝炎の1例
今井 昌康橋本 直明松川 雅也松浦 広関川 憲一郎高倉 裕一山川 宣鈴木 丈夫是永 建雄岸田 由起子山崎 一人薬丸 一洋
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2004 年 45 巻 8 号 p. 428-437

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抄録

症例は68歳女性. 主訴は全身倦怠感. 当院人間ドックにて肝障害を指摘され初診. 飲酒歴なし. 羽ばたき振戦を認め, 黄疸はないが, 表情に乏しく愚鈍な印象であった. 血液検査ではAST 392IU/l, ALT 271IU/l, T. Bill. 3mg/dlと肝障害を認め, 肝炎ウイルスマーカーは陰性. Alb 2.5g/dl, ChE 136IU/l, T. chol 120mg/dl, PT時間53.5%など合成能の著明な低下と画像診断での広範な肝壊死所見を認めた. 第5病日に抗核抗体が1280倍と判明し, IgG 4806mg/dlなどから自己免疫性肝炎 (AIH) 国際診断基準治療前スコア16点で definite AIHと診断. プレドニゾロンを80mg/dayから開始し, 逸脱酵素は速やかに軽快した. 合成能は第8病日に最低値をとった後上昇に転じたが, 第15病日に一過性にII度の肝性脳症を呈した. 1年半後の現在, 日常生活が支障ないまでに回復した. 本例はPT時間の最低値が48.3%であったが, 肝不全徴候を示した重症度の高いAIHと考え報告する.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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