肝臓
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ラミブジン治療後にYMDD変異株による breakthrough 肝炎の劇症化を来したが Adefovir dipivoxil と血漿交換療法が奏効したB型慢性肝炎の1例
大塚 大河中村 東樹有尾 啓介野田 隆博野口 晶教
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2004 年 45 巻 8 号 p. 438-443

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抄録

B型慢性肝炎に対するラミブジン治療の問題点としてYMDDモチーフの変異による耐性ウイルスの出現がある. それによる重症化例あるいは劇症化例も報告されており, 我々も劇症化した1例を経験した. 症例は39歳男性で, 平成13年8月よりラミブジンが導入され肝機能の改善を認めていた. その後HBV DNA量の増加と肝機能の増悪を認め, 平成15年5月入院した. 耐性ウイルスの出現を認め肝庇護療法, インターフェロン治療を行ったが軽快しないため Adefovir dipivoxil の投与を開始した. その後III度脳症を認め劇症化と診断し, 血漿交換療法も併用し改善した. ラミブジン治療開始2年後には約30%に耐性株が出現するといわれ, 今後重症化, 劇症化する症例も増加すると予想される. このような症例に対しても早期の診断, 治療により救命しうると考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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