日本顔学会誌
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学術論文
似顔絵を科学するⅡ
人の感性をコンピュータ上で集約して似顔絵を描く技法の開発
橋本 憲一郎阿部 恒之
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キーワード: 似絵, 写楽, 平均顔, 誇張, 臨界比
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2023 年 23 巻 2 号 p. 60-68

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抄録

日本における似顔絵は、平安時代の似絵(にせえ)以来の長い歴史を持つが、近年はコンピュータによる似顔絵作成も行われるようになってきた。コンピュータ似顔絵における平均顔からの形態的差異の客観的抽出と誇張、人による似顔絵におけるモデルの人格などを含む総合的な把握とその反映という、双方の長所を生かした、新たな似顔絵の生成方法を開発するため、22名の描き手による12名のモデルの似顔絵を集めて、以下の3種の刺激を作成した。①原画をトレースして電子化した似顔絵(以降、オリジナル似顔絵)、②個別モデルのオリジナル似顔絵を平均化した似顔絵(以降、個別平均似顔絵)、③個別平均似顔絵を集めて平均化した似顔絵(以降、平均テンプレート)と、個別平均似顔絵の差異を抽出し、それを誇張(強調)した似顔絵(以降、誇張似顔絵)。この3種の似顔絵刺激の似ている度合いを実験によって比較したところ、③誇張似顔絵>②個別平均似顔絵>①オリジナル似顔絵、の順に、似ているとする評価が高かった。人の描いた似顔絵を、初歩的な描画ソフトによって集積する新たな似顔絵作成技法が開発できた。

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