抄録
花卉生産において天敵の利用など農薬のみに頼らない総合的病害虫管理 (IPM) 技術を確立・普及するための一つの方法として,バラ園におけるカブリダニのハダニ類防除への利用が考えられる。バラ園では,土着カブリダニが侵入できないため,生物農薬であるミヤコカブリダニNeoseiulus californicus (McGregor) の利用が有望である。これまであまり評価されてこなかった天敵の行動に対する農薬の影響を調べる目的で,バラの病害虫防除に使用される各種農薬に対してミヤコカブリダニがどのような行動を示すかを実験的に調べた。Y 字管試験では,ジクロルボス乳剤については忌避の効果が認められたが,他の薬剤については忌避の効果は認められなかった。クロルフェナピルフロアブル,マラソン乳剤については誘引されている傾向があった。一方バラの葉上でのミヤコカブリダニの滞在時間は,無処理区も含めすべての農薬について,有意差はなかった。農薬のミヤコカブリダニに対する移動促進効果はないと思われる。