抄録
山口県の夏秋ピーマンの栽培地域では接ぎ木栽培を行ってもRalstonia solanacearum による青枯病が発生し,安定生産を行う上で大きな阻害要因となっている。本研究では,台木の抵抗性の特性を活かした「高接ぎ木法」によるピーマン青枯病の防除について検討した。高接ぎ木の防除試験には,慣行接ぎ木苗(地際からの台木の茎部の高さ 3-4 cm)よりも高い 11-14 cm に接いだ苗を利用した。山口県,茨城県で実施した夏秋作型の実証試験において,高接ぎ木区は夏期の発病が遅延し,慣行接ぎ木区よりも高い防除効果が認められた。ハウスでの栽培試験の結果,高接ぎ木区は慣行接ぎ木区と生育,収量や果実品質に差がないことが確認された。以上から,高接ぎ木法はピーマン青枯病の有効な防除技術として利用できることが明らかとなった。