2018 年 60 巻 p. 9-15
アブラムシ類に対する生物的防除であるバンカー(植物)法の実用性を高めるため,ムギクビレアブラムシの増殖に及ぼす土壌水分および寄主植物の影響を以下の2つの試験により検討した。試験1:エンバク‘ヘイオーツ’,コムギ‘さとのそら’,オオムギ‘てまいらず’,ライムギ‘007’などの8種の植物を,生産地のピーマン栽培施設内において土壌水分が異なる3箇所(pF=1.8,2.0,2.2)に植栽した。試験2:土壌水分を異なる2水準(pF=1.8およびpF=2.3)で維持管理した条件で,上記と同一の8種の植物を植栽した。両試験においてムギクビレアブラムシの増殖を比較した結果,本種の個体数は,生産地施設内における寄主植物の植栽場所によって有意に異なった(試験1)が,試験2においては土壌水分の相違による有意な差は認められず,土壌水分だけで本種の増殖の相違を説明することはできなかった。本種個体数は,両試験において寄主植物によって有意に異なり,エンバク,コムギおよびライムギが本種の増殖に適したバンカー植物であると推察された。