関西病虫害研究会報
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原著論文
滋賀県の秋植タマネギのりん茎腐敗の主要な病原細菌とその発病適温
小幡 善也金子 誠柴田 隆豊
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2024 年 66 巻 p. 1-10

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抄録

滋賀県のタマネギ栽培で一般的な秋植作型において,貯蔵施設および出荷先でタマネギりん茎の細菌性腐敗が発生し,加工業者からのクレームやタマネギの廃棄につながることが問題となっている。本研究では,滋賀県の秋植タマネギで防除対象とすべきりん茎腐敗の病原細菌を把握し,その発病適温を明らかにするために,県内各地で細菌性腐敗を生じた生育期間中および収穫後のタマネギ葉身やりん茎から細菌を分離し,種を同定した。さらに,それらのタマネギりん片に対する病斑長径と貯蔵時のりん茎腐敗率(りん茎に腐敗を生じた個数/供試数×100)に及ぼす温度の影響を調査した。葉身・りん茎からは計5種の病原細菌が分離され,りん茎からはBurkholderia cepaciaB. cenocepaciaおよびB. gladioliの3種のみが分離された。特に,調査地点数に占めるB. cepaciaの分離割合は52.6%と最も高かった。3種のBurkholderia属細菌によるりん片の病斑は10°Cでは確認できなかったが,15~20°C以上で病斑の進展が認められ,病斑長径は25~35°Cで最大になった。B. cepaciaによるりん茎腐敗率は貯蔵温度15°Cと20°Cで約10%程度と低かったが,30°Cでは約41%となり,15°Cおよび20°Cよりも有意に高かった。以上のことから,滋賀県の秋植タマネギで防除対象とすべき病原細菌はBurkholderia属の3種であること,これらは15~20°Cでタマネギに発病可能であり,発病適温は25~35°Cの高温であることが示された。また,滋賀県の秋植タマネギ栽培では気温が上昇する4~6月に感染リスクが高くなること,そして貯蔵時には10°C以下の低温で被害を抑制できる可能性が示唆された。

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