2024 年 66 巻 p. 11-16
奈良県で2021年にトマト灰色かび病菌83菌株を採取し,その薬剤感受性を調査した。その結果,ジエトフェンカルブ,ペンチオピラド,チオファネートメチル,アゾキシストロビンに対する耐性菌率が高く,それぞれ96.3%,92.8%,79.5%および46.3%であった。一方で,イプロジオン水和剤に対する耐性菌率は低く,20.5%であった。なお,メパニピリムでは,耐性菌は認められなかった。フェンヘキサミドでは感受性低下菌が確認されたが,4.1%のみであった。トマト生産農家の薬剤散布暦を調査した結果,耐性菌率が高いジエトフェンカルブ,ペンチオピラド,チオファネートメチル,アゾキシストロビンの使用頻度が高かった。これらの結果からメパニピリムとフェンヘキサミドが有望な薬剤と考えられた。耐性菌が高頻度で発生していることから,灰色かび病の防除には感受性の評価に基づいた薬剤の選択が必要となる。