関西病虫害研究会報
Online ISSN : 1883-6291
Print ISSN : 0387-1002
ISSN-L : 0387-1002
原著論文
ブラインシュリンプ耐久卵の散布による天敵アカメガシワクダアザミウマの定着促進効果
東田 景太大朝 真喜子森 光太郎
著者情報
ジャーナル フリー

2025 年 67 巻 p. 25-31

詳細
抄録

ブラインシュリンプ耐久卵を殻有かつ吸水した状態で与えると,そうでない場合と比べてアカメガシワクダアザミウマの生涯産卵数が多く,平均生存日数も長くなった。ブラインシュリンプ耐久卵はイチゴ株元に散布すればイチゴ株や土壌から給水が期待される。イチゴ株元に過剰量のブラインシュリンプ耐久卵を散布したところ,イチゴへの影響は観察されなかった。アカメガシワクダアザミウマ成虫放飼にブラインシュリンプ耐久卵のイチゴ株元散布を併用することは,成虫数の初期定着個体数や次世代幼虫数を増加させる効果を持つことが実験圃場試験によって分かった。現地圃場試験でも同様の傾向が確かめられた。ブラインシュリンプ耐久卵散布はアカメガシワクダアザミウマの株間分散速度や害虫と遭遇する花や果実における分布様式に影響しなかったが,より広範囲の成虫の分散に寄与している可能性が示された。

著者関連情報
© 2025 関西病虫害研究会
前の記事 次の記事
feedback
Top