2025 年 67 巻 p. 25-31
ブラインシュリンプ耐久卵を殻有かつ吸水した状態で与えると,そうでない場合と比べてアカメガシワクダアザミウマの生涯産卵数が多く,平均生存日数も長くなった。ブラインシュリンプ耐久卵はイチゴ株元に散布すればイチゴ株や土壌から給水が期待される。イチゴ株元に過剰量のブラインシュリンプ耐久卵を散布したところ,イチゴへの影響は観察されなかった。アカメガシワクダアザミウマ成虫放飼にブラインシュリンプ耐久卵のイチゴ株元散布を併用することは,成虫数の初期定着個体数や次世代幼虫数を増加させる効果を持つことが実験圃場試験によって分かった。現地圃場試験でも同様の傾向が確かめられた。ブラインシュリンプ耐久卵散布はアカメガシワクダアザミウマの株間分散速度や害虫と遭遇する花や果実における分布様式に影響しなかったが,より広範囲の成虫の分散に寄与している可能性が示された。