関西病虫害研究会報
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原著論文
促成栽培イチゴにおける春季以降のヒラズハナアザミウマに対する4種天敵製剤の防除効果
中野 亮平片山 晴喜曾根 良輔
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2025 年 67 巻 p. 37-46

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抄録

促成栽培イチゴにおける春季以降のアザミウマ類(主にヒラズハナアザミウマ)に対する4種天敵製剤の防除効果と被害果抑制効果を2022~2024年の3年間評価した。2022年はリモニカスカブリダニ(50,000頭/10 a)およびアカメガシワクダアザミウマ(15,000頭/10 a)をそれぞれ1回放飼した。リモニカスカブリダニによるアザミウマ類防除効果は認められず,本種はアザミウマ類の主な生息場所である花で確認されなかった。アカメガシワクダアザミウマはアザミウマ類幼虫密度を抑制する傾向がみられた。2023年と2024年は各天敵種を1ヶ月間隔で3回放飼した。いずれの天敵種もアザミウマ類密度を抑制したが,被害果率は天敵種によって異なった。2023年の累計被害果率は,ククメリスカブリダニ(700,000頭/10 a)<ククメリスカブリダニ(350,000頭/10 a)=スワルスキーカブリダニ(50,000頭/10 a)の順に有意に低かった。2024年の累計被害果率は,ククメリスカブリダニ(350,000頭/10 a)<スワルスキーカブリダニ(50,000頭/10 a)=アカメガシワクダアザミウマ(15,000頭/10 a)の順に有意に低かった。以上のことから,イチゴのアザミウマ類に対する防除効果はククメリスカブリダニが最も優れることが示された。この効果は,主にククメリスカブリダニの放飼密度が高いことに起因する可能性がある。ただし,5月下旬以降は被害果の増大が抑えられなかったことから,この時期以降は別の防除手段を併用する必要がある。

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