2026 年 68 巻 p. 29-37
ヒラズハナアザミウマは施設イチゴ栽培における重要害虫である。赤色LED光照射はメロン,ナスおよびキュウリにおいてミナミキイロアザミウマの密度抑制に有効であることが実証されているが,イチゴのヒラズハナアザミウマへの効果は不明である。本研究ではこの照射方法に基づき,2024年および2025年にイチゴのヒラズハナアザミウマに対する密度抑制効果を評価した。温室内に植栽したイチゴに対して赤色LED光(ピーク波長:2024年は620~630 nm,2025年は660 nm)を1.35~3.79×1018 photons/m2/sの強度で照射し,ヒラズハナアザミウマ雌成虫を放飼した。両年とも,無照射区と赤色LED光照射区の間で花上のアザミウマ類密度に有意差は認められなかった。2024年では,花のエタノール洗浄によるヒラズハナアザミウマ成虫累計捕殺数は赤色LED光照射区で有意に多かったが,2025年では処理区間に有意差は認められなかった。以上のことから,ミナミキイロアザミウマ防除に有効とされる赤色LED光照射方法は,イチゴのヒラズハナアザミウマに対して密度抑制効果を示さなかった。本研究の結果は,先行研究と異なり,赤色LED光が照射された植物に対する本種の定着抑制が生じなかったことを示唆する。この違いが生じた要因として,照射対象植物の種や部位の違い,アザミウマ種間の光感受性差,照射強度および照射条件などが関与した可能性があり,今後の検証が必要である。