関西病虫害研究会報
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クリタマバチ虫?に散布されたパラチオンの滲透及び分解並びに虫?内成虫の生育阻害について
武藤 利郎高橋 文夫
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1958 年 1 巻 p. 79-81

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抄録

笠原早生を供試しクリタマバチの虫瘻内成虫期にパラチオン剤を散布し, 一定間隔毎のパラチオン微量定量とGall分解調査により Gall 内への滲透移行及び分解, 本虫の生育阻害についてしらべ次の如き結果を得た.
(1) 虫纓内え滲透移行するパラチオン量は散布濃度に比例して増加し, 1,000倍液散布で約18PPMを検出し施用量に比して極めて少量である.
(2) 虫瓔に於けるパラチオンの分解消失は日数の経過に伴い最初の 4 日迄に急速に分解消失し, その後は除々に分解消失していく.
(3) 虫痿内成虫を 100%死亡せしめるには虫疲内に滲透移行したバラチオソ量は最低8.68~12.59PPMの問と考えられ,二化螟虫初令幼虫のそれより約2倍量を必要とする様である.
(4) パラチオンの虫瘻内クリタマバチ成虫に対する生育阻害程度は濃度の濃い程甚だしく, 1000~2000倍では死亡寸前の状態でしばらく経過し完全に死亡するのは散布後 9~15 日の間で, 死亡位置も虫房内が殆どである. 4000倍では前者より稍軽いため脱出孔を途中迄作り死亡, 6000倍では発育が若干おくれる程度の阻害で過半数は羽化脱出する.
(5) 虫瘻内成虫期間にクリタマバチを完全に殺すためにはパラチオン剤の2000倍液以上の濃度が必要である.

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