関西病虫害研究会報
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ナシ輪紋病に関する研究(第2報)
柄胞子の形成および飛散の条件
加藤 喜重郎森 武
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1968 年 10 巻 p. 40-44

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抄録

本報告はナシ長十郎の枝に形成されたいぼ皮症状の変化と柄胞子形成に及ぼす温度, 光線の影響について調査し, さらにほ場における伝染源の位置, 量と胞子採集結果について述べた。
1. いぼ周辺部の病斑形成および拡大進展は30℃が最も早く, 25℃がこれに次ぎ, 15~20℃では極めて遅い傾向を示した。
2. 柄胞子は25~30℃で最もよく形成され, 形成時期およびそのピークは25℃より30℃の方が早く, かつ長期に噴出し続けた。
3. 罹病枝を人為的に枯死させた場合には柄胞子の形成時期が早まり, いぼ組織の枯死によって柄子殻形成を早めることが認められた。
4. いぼ組織を遮光すると柄胞子はこんせき程度にしか認められなかったが, 光の照射によって形成が良好となり, 光の強さにも差異が認められた。 しかしほ場においては日中の光でじゅうぶん形成が可能であると思われた。
5. 柄胞子は4月下旬より9月中旬にわたり採集されたが, 5月下旬から8月上旬に最も採集量が多かった。 採集覺は伝染源の位置や量によっても差異が認められ, 棚上に置いた場合に最もよく採集された。

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