関西病虫害研究会報
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植物ホルモンの植物ウイルス増殖に対する影響
平井 篤造尹 泰圭杉浦 宣紹富田 正行牧 頴夫
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1968 年 10 巻 p. 35-39

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抄録

カイネチン, MH, インドール醋酸 (IAA) およびその前駆物質は, タバコモザイクウイルス (TMV) がインゲン葉上に作る局部病斑の形成を高濃度で阻害し, ジベレリンはかえって促進した. これら植物ホルモン類は, TMVのタバコ葉内での増殖にはあまり影響がなく, あるものはある濃度でかえって促進した. カイネチンおよびIAAと, 抗ウイルス剤であるブラストサイジンS (BcS) やチオウラシル (TU) を混合して,タバコ切取葉に作用させると, 一般に抗ウイルス剤の効果が減少した. TMVやジャガイモウイルスX (PVX) をトマト苗に接種し, これに上記の植物ホルモンと抗ウイルス剤を混合散布した.抗ウイルス剤によって, 潜伏期間の延長, 草丈や生重の増加が見られたが, ホルモン類の添加はその効果を減少させた. しかしホルモンによるウイルス病斑形成の阻害が見られた.

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