抄録
イネ紋枯病の発病の品種間差異は, 本質的な抵抗性というよりは, むしろ早晩性・草型などの二次的な要因による回避現象が主体であると考えられている. この研究は, これらの二次的な要因をできるだけ除いた場合に, 稲体組織そのものの抵抗性が品種によってどの程度違うかを知る目的で行なった. 早晩性・草型を異にする日本水稲38品種を供試し, 幼苗接種, 葉難試験管内接種, 圃場での葉鞘接種を行ない, 2日後に病斑長を調査した結果では, 品種間に顕著な差は認められなかった. 試験管内接種で生じた第1次病斑の病原力にも, 品種間差はみられなかった. しかし, 圃場で株元に接種し, 41日後に健全葉鞘数を調査したところ, 晩生品種では早生品種よりも明らかに多くの健全葉鞘を残していた. 以上の結果から, 紋枯病に対する日本水稲品種の抵抗性は, 従来いわれているように, 主として早晩性などによる回避現象であって, 少なくも供試品種の範囲内では, 稲体組織そのものの抵抗性には顕著な品種間差異はないものと思われる.