抄録
コンクリート中に微量に含まれている有機系化合物,即ち,混和剤の敏感な熱的変化に着目し,UVスペクトル法を用いて,火害を受けたコンクリートの受熱温度推定方法を提案した。得られた結論は以下の通りである。(1)吸光度と受熱温度の関係より,常温から600℃までの受熱温度を推定できることが分かった。(2)加熱試験を実施した柱及び床のコンクリート部材からサンプルを採取し,受熱温度を推定した。その結果,推定値は温度測定値とほぼ一致し,推定方法の実証が図られた。(3)火害を受けたRC造建物よりコンクリートのサンプルを採取し,受熱温度を推定した。その結果,コンクリートの変色状況,圧縮強度,中性化深さ,等による結果と推定結果はおおむね整合することが分かった。
(オンラインのみ掲載)