日本火災学会論文集
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論文
プール火災の火炎構造に及ぼすスケール効果
伊藤 昭彦工藤 祐嗣Kozo SAITO
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2004 年 54 巻 1 号 p. 9-16

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抄録

プール火災におけるスケール効果が火炎構造と流れ場に及ぼす影響を調べるために,高速度ビデオカメラを用いたPTLS法による火炎垂直および水平断面における流れ場判定と,LST法による火炎水平断面の火炎形状測定を行った。実験に用いたプール火災の直径は10cm,20cm,30cmおよび50cmであり,燃料は灯油である。火炎中心軸に沿った垂直面の可視化は,数値計算との良い一致が見られたが,空気流入量は20%程度大きくなるものと見積もられる。これはしわ状火炎による表面積の増大と周方向速度成分の存在によるものである。しわ状火炎が渦対に起因した火炎セルから成るとの推論から,3cm径小型プール火炎を円形に並べた集合火炎と中型プール火災を比較した。その結果,直径20cm以下では火炎高さおよび変動周波数ともに小型プール火災を並べたものと類似しており,中型プール火災の構造が小型プール火災の集合体,すなわち小規模火災の集合体と見ることができる。一方,直径が30cm以上になると,火炎高さと火炎の振動周波数ともに小型プール火災を並べたものと差異が見られた。直径50cm以上では,集合火炎では見られない12~14Hzの振動周波数の高い環状のしわ状火炎が火炎基部に現れ,乱流構造をもつラージスケールのプール火災へと遷移する。
(オンラインのみ掲載)

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© 2004 日本火災学会
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