2005 年 55 巻 2 号 p. 33-39
毎年,電気火災によって人命が失われる事故が多く発生している。この原因の一つとして配線器具の差込みプラグやコンセント部からの発火が挙げられている。発火原因は,電源と配線器具との接続部の過熱による場合と,配線器具の絶縁破壊による短絡,いわゆるトラッキング現象による場合がある。本論文では,トラッキング現象のプロセスを解明することを目的として,差込みプラグの絶縁材料として主に使用されているポリ塩化ビニル樹脂と,コンセント用の絶縁材料であるユリア樹脂について,熱的な影響と電解液の濃度条件を変えて耐トラッキング性について検討を行った。この結果,測定された漏れ電流の挙動からトラッキング現象の発生メカニズムについて考察した。
(オンラインのみ掲載)