2006 年 56 巻 2 号 p. 23-35
地下鉄駅舎は,韓国テグ市地下鉄火災のように,火災時には煙による避難・消防活動上の支障をきたし易い構成の地下空間であるが,実施設での火災実験の例はない。本論文は,稼働中の島式ホーム型地下鉄駅舎で初期火災程度の火源を使って行った煙流動実験を報告したものである。実験では主に(1)ホーム階段のシャッターの開閉条件と,(2)ホーム排煙の効果,に注目して,地下鉄駅舎内の風速・温度・圧力を測定して,煙流動モデルの検証に利用し得るデータを得るとともに,(1)ホーム階段シャッター開放時には外部風の影響でホーム上の煙層が不安定になり易いこと,(2)ホーム全体の一括排煙では局所火源に対してはシャッター閉鎖時の避難安全性の向上に寄与し難いこと等の知見を得た。
(オンラインのみ掲載)