2011 年 61 巻 2 号 p. 29-39
本報は,リスクの概念に基づく避難安全設計法に活用するため,火災統計データの分析を通じて設計基準避難リスクの算出に関わる検討を行う。本報では,避難リスクR(K) を定義し,設計法に用いる設計基準避難リスクRaD(K) が,出火率,床面積,成長火災1件あたりの死傷者数から構成されることを示した。そして,住宅・共同住宅火災を例に,住宅タイプ別の出火率,死傷者数の値を求め,これらの値と,火災報告データ上の火元建物の床面積の分布から,避難リスクR(H) の取り得る範囲を示した。今後の課題として,基準避難リスクが設計解に及ぼす影響の考察と共に,基準避難リスクのあるべき水準について,両面から更に議論が必要なことを提起した。
(オンラインのみ掲載)