2011 年 61 巻 2 号 p. 41-51
現行の避難安全検証法では,建築物の規模や避難安全上の重要度に関わらず,同一の設計火源・クライテリアを要求しているため,避難安全上重要な部位は対策を強化するといった,いわゆる火災リスクへの配慮が十分ではない。これらの問題点を解決するため,著者らは性能的避難安全設計の枠組みにリスクの概念を導入し,潜在的な火災リスクに応じて設計火源を決定し,その設計火源の下で検証することによって避難リスクを許容レベル以下に抑制する手法(リスクベースの設計法)を検討している。
本報では,まずリスクベースの設計法におけるキーポイントの1つである火災成長率 α の位置付けを示した。次に事務室,住宅居室,飲食店舗,物販店舗を対象として,総務省消防庁の火災報告データから火災成長率 α に関連する情報を整理し,リスクベースの設計法に用いる火災成長率 α の分布の推定結果を報告した。
(オンラインのみ掲載)