綿製品の着火性が密度に対して正の依存性を持つ原因を探るため,透光性固体に対して輻射光で局所加熱を行ったときの固体内の熱移動と温度分布を調べた。綿ブロックの上面に対して局所加熱ランプを用いて加熱を行ったときについて,内部の温度分布を数値計算により求めた。吸光係数は綿の密度に対して比例すると仮定して実験により求めた。加熱実験も実施し,その結果がシミュレーションと定性的に一致することを確認した。シミュレーションでは,密度が低い範囲では密度の増加にともない最高温度が上昇し,それ以上になると逆に下降した。これらの結果から,密度依存性を決定づけている要因が,輻射による固体内の熱伝達であることが示唆された。