抄録
食品の抗菌·保存対策が強く求められ, 消費者のユーズの高い天然素材の中でも, カキ殻を粉末調製したカルシウム剤には抗菌能が認められているが, その詳細な解析は行われていない。本研究では, 食中毒菌の電子顕微鏡による超微細構造の観察や生化学的解析を行い, カルシウム剤の抗菌メカニズムを明らかにした。加熱殺菌に不向きである生食用カット野菜に対する抗菌効果を調べ, 実用化へ向けた検討を行った。グラム陰性菌は, 処理により周縁鞭毛が離脱し細胞質が凝縮した電顕像が観察され, カルシウムが+に荷電し高濃度であることが抗菌効果の主因であると推定された。2点嗜好試験法による判定の結果は, 殆どのカット野菜の総合評価にはカルシウム処理, 無処理による有意な差が認められなかった。