一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
(一社)日本家政学会第55回大会
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近世・近代における婚礼の食事構造について
*増田 真祐美江原 絢子
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キーワード: 婚礼, 食文化, 食生活史, 儀礼食
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p. 126

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抄録

【目的】近世・近代における儀礼食は、多くは本膳料理を中心とし、その前後に酒とその酒肴を伴っていたが、その構造や料理内容を詳細にみると、必ずしも各地域において同一ではなく、また時代とともに変化していると考えられる。本研究では各地域の家文書による婚礼献立をとりあげ、その献立から様式、食材、料理の特徴を調査分析することで、婚礼の食事構造の特徴と移り変わりについて明らかにすることを目的とする。【方法】調査方法・資料については、三河国古橋家文書を中心とし、これと比較するために飛騨国大前家、美濃国千秋家、甲斐国市川家など各地域の家文書を用いた。【結果】江戸期の古橋家においては、本膳形式のみの献立でその前後に、酒の儀礼と酒肴、酒宴とその酒肴が供された。明治期に入ると本膳後の酒肴が減少し、大正5年の献立では酒宴が本膳の先になっており、いわゆる会席膳の形式をとっている。大前家においても古橋家同様本膳のみの膳の前後に酒の儀礼と酒肴、酒宴とその酒肴といった形をとっているが、酒の儀礼、酒肴にあたる部分の呼称等にちがいがみられるほか、酒の儀礼の酒肴に古橋家が雑煮を供しているのに対し、大前家では一度も供されていないなど、酒肴の内容に地域的ちがいがみられると推察される。また千秋家は明治44年の婚礼では、料理を外注しており、古橋家にみられたと同様、会席膳の形式をとっている。さらに市川家においても明治31年の婚礼では同様の外注、会席膳の形式がみられた。

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© 2003 一般社団法人 日本家政学会
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