一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
(一社)日本家政学会第55回大会
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アロエ抽出物の抗ガン作用とその作用メカニズムの解明
*湯浅 勲湯浅(小島) 明子
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p. 166

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抄録

【目的】アロエは種々の生理作用を有し、機能性食品として注目を浴びている。我々は、昨年度の本大会においてアロエ抽出物の肝傷害保護作用について報告したが、本研究ではアロエの抗ガン作用に着目し、その作用メカニズムについて検討した。【方法】エールリッヒ腹水ガン細胞は10%FCSを含むMEM培地で3~4日間培養した後、実験に供した。アロエ(Aloe Africana Miller/ Aloe ferox Miller/ Aloe spicata Baker混合種)は乾燥粉末を有機溶媒(エタノール、クロロホルム、酢酸エチル、ブタノール)を用いて分離、抽出した後、凍結乾燥したものを用いた。細胞生存率はTrypan-blue法により、DNA合成能は細胞内の3H-thymidine量により測定した。細胞周期はPI染色後、Laser scanning cytometerを用いて解析した。【結果】アロエの各抽出画分における抗ガン作用を細胞生存率およびDNA合成能で評価したところ、クロロホルム抽出画分に最も強い抗ガン作用が認められた。さらにクロロホルム抽出画分の細胞周期に及ぼす影響を調べるためにLaser scanning cytometerを用いて解析したところ、コントロール群と比較してDNA合成期であるS期が顕著に減少し、アポトーシス細胞死の指標であるsub-G1期の増加が認められた。この際、G1期からS期への移行に関係するRbタンパクのリン酸化が抑制されていることが確認された。【結論】アロエには抗ガン作用を有する成分が含まれること、また、その成分はガン細胞におけるDNA合成を抑制することによってガン細胞のアポトーシス細胞死を誘導することが明らかとなった。

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© 2003 一般社団法人 日本家政学会
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