一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
(一社)日本家政学会第55回大会
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密閉型衣服におけるヒートストレス警報装置の開発
― ヘルメット内気候の温度上昇と基幹温度の関係 ―
*村山 雅己生野 晴美物部博文中橋 美智子
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p. 204

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抄録

【目的】消防員装具、農薬防護服、その他、人体衣服外からの熱環境、外気環境等から人体を防護する目的で人体と外気環境の通気が阻害されている衣服(以下密閉型衣服という)は、発汗による潜熱放熱が抑制されており、結果として人体代謝熱の放熱が抑制されやすい。そのため、軽作業であっても環境によっては代謝熱が人体に蓄熱し、熱中症等のヒートストレスが発生することがある。本研究の目的は、密閉型衣服を着用しての作業における人体各部の皮膚温上昇を解析すると共に、ヒートストレスとしての体温上昇限界を検討し、密閉型衣服着用者自身がヒートストレスの進行を自ら確認可能など人体不調となる以前に警報を発するための装置の開発とする。【方法】警報装置としては、ヒートストレスを判断するための体温上昇を測定するポイントは少なく簡易であることが望ましい。健康な成人男子4名を被験者とし、密閉型衣服(消防員装具)を着用させ、エルゴメータによる中等度作業相当20分間の運動による衣服内気候、平均皮膚温等を測定した。基幹温度の代表として直腸温、外耳道温を測定した他、頭部温度、ヘルメット内気候等の温度上昇値を測定し、人体の体温上昇を代表する温度測定点を検討した。【結果】人体体温の皮膚表面の代表点としては頭額部温度が適当である。さらに、皮膚に接触した温度ではなく、ヘルメット内の頭頂部空気温度が頭額部温より温度上昇レスポンスが早く、ヒートストレスの判定に使えること、警報装置用のセンサーを皮膚に密着させなくてもよいというメリットがあることなどが判明した。

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© 2003 一般社団法人 日本家政学会
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