抄録
【目的】高齢者福祉施設での給食は、健康状態を保つだけではなく、利用者の楽しみの一つにもなっている。しかし、利用者の年齢や健康状態に配慮した献立作成と調理が行われているにもかかわらず、残食が多いと言われている。これらは使用する食品や調理法など、利用者の生活習慣や希望に即していないためと考えられる。そこで、本研究では高齢者福祉施設における献立と残食の状態、及び健常者が日常生活で使用している食品について調査し、比較検討を行い、残食の少ない献立について検討した。【方法】埼玉県内の某特別養護老人ホーム1施設で2週間、計42回の献立と残食調査を行った。主食を除く献立のうち、使用頻度の多い食品及び残食が多い食品とその調理法を抽出した。さらに、日常生活において使用されている76種類の食品の摂食頻度とその調理法について、本学学生及びその家族を対象とし、アンケート調査を行い、高齢者福祉施設と家庭での献立及び調理法の違いを検討した。【結果】対象施設では、魚介類を用いた料理が最も多く、1日1~2回供されていた。調理法は焼き魚や煮魚など多様であった。残食が多いのは豆腐及び高野豆腐を用いた料理であり、その調理法は炒り煮や卵とじであった。一方、一般家庭を対象としたアンケート調査では、豆腐を摂取する頻度は多いが、調理法に違いがみられた。施設利用者の生活歴や習慣等、個人に対応した献立作成の必要性があると考えられた。