一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
(一社)日本家政学会第56回大会
セッションID: 2-3-21
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健康ブームに巻き込まれる子ども達
*村上 陽子藤本 麻子前田 英雄
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抄録

【目的】近年、生活習慣の不摂生による疾病(生活習慣病)の増加が社会問題となっている。しかし、その一方で妄信的といえる健康ブームが起こっている。こうした中、誤った情報や科学的根拠を持たない風説により、健康を害する健康危害も増加しており、最近ではそれが低年齢化するなど問題が深刻化している。しかし、子どもの興味・関心の高さに対して正しい知識や客観的な判断力が追いついていないというアンバランスが生じており、その危険性を指摘する声も多い。健康ブームの多くは食に関するものであり、学校教育においては家庭科が果たす役割が大きいと期待されるが、現在の家庭科の食領域は調理など基礎的な技能の修得に留まっており、現代的な内容は殆ど取り上げられていないのが現状である。本研究では健康ブームの問題点を明らかにし、家庭科に求められる役割について検討する。【方法】若者の健康に対する意識を知るため、ダイエットとサプリメントに着目し、中学生と大学生にアンケート調査を行った。また、各発達段階における情報受信の相違点を見るために、中学生向け雑誌と大学生向け雑誌の比較を行った。【結果】雑誌比較の結果、対象年齢が低いほど一方的な情報を鵜のみにする危険性が見られ、子ども達は健康ブームの被害者となる危険性を孕んでいることが示唆された。次に、ダイエット・サプリメントに関するアンケート調査から、性別年齢を問わず関心が高いという結果が得られた。思春期は体の土台を作る大切な時期であり、この時期の誤った食行動は生涯に渡って健康に影響を及ぼす恐れがある。以上より、家庭科は健康ブームをはじめとする現代的な課題に取り組み、正しい知識や判断力を育成する必要があると思われる。

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© 2004 一般社団法人 日本家政学会
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