一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
(一社)日本家政学会第56回大会
セッションID: 2-3-27
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保育士養成教育「小児栄養」教科書における「食育」
*佐藤 真弓神部 順子
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抄録

【目的】近年、食に対するシステマティックな教育、すなわち食育の重要性に関する議論が盛んである。健康で自立した食を営める人間を育てるために小児期からの食育は重要であり、保育士はその実践者として一翼を担う。食育は保育士養成教育の小児栄養科目において特に取り上げられるべきであろう。本研究では保育士養成教育で使用されている小児栄養の教科書中に食育がどのように捉えられ表現されているかについて分析を行い、今後どのように展開すべきか可能性を探ることを目的とした。【方法】2000年厚生省保育所保育指針および2002年の保育士養成課程に関するカリキュラム編成改正を反映しているであろうと思われる、2002年以降発行の小児栄養教科書の中で入手可能な10冊について比較検討を行った。食育について触れられていると考えられる部分の表現、章立ての有無、ページ配分など教科書の構成、また食育の概念、意義、目的、方法、対象など内容に関する調査を行った。【結果】食育という表現で章立てされている教科書は10冊中になく、食育と同等もしくは類似した表現として食教育で2冊、栄養教育で2冊、他に食習慣指導、栄養・食生活指導といった表現で章立てがなされていた。各ライフステージの章で各論的に食育に触れているものが4冊だった。食育関連部分ページ数の全ページ数に対する比率は0%から23.4%のものまで見られ、5%未満のものが6冊もあった。食育の内容に関しては各教科書で特色が見られ類似点はあるものの、食育の概念規定の明確な統一性は見られなかった。食育の重要性をより認識させるためには教科書自体の構成に改善の余地があることもわかった。

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