一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
(一社)日本家政学会第56回大会
セッションID: 2-3-38
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洗浄排水の環境負荷低減のための洗剤中の漂白剤の効果
*大浦 律子
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抄録

目的:家庭洗濯によって排出される排水は、下水道がまだ完全に整備されていない現状では、河川水への負荷を与えている。環境負荷を低減するための洗浄剤のビルダーとして、酸素系漂白剤の有効利用を試みた。洗浄補助剤としての漂白剤の利用は、近年の除菌習慣の高まりと共に実用されつつあるが、色素汚れの除去にはまだ不十分である。本研究は市販漂白剤入りの洗剤とモデル洗剤との比較を行いながら、漂白剤を配合することによる界面活性剤の減量化を図った。また、酸素系漂白剤の河川水中での分解について検討した。方法:漂白剤入り市販洗剤及びモデル洗剤を用いて洗浄実験を行い、洗浄性を比較した。洗浄実験には湿式汚染布および紅茶汚染布を用いた。洗浄性は洗浄効率の算出、洗浄後の汚染布の分光反射率曲線、蛍光強度の測定により評価した。また酸素系漂白剤の河川水中での分解速度を滴定法により測定し、河川水中への影響について調べた。結果:界面活性剤を10_から_20_%_減量し、この減量分の酸素系漂白剤を配合すると、湿式汚染布の洗浄効率は低下せず、色素汚れの除去率は上昇する。漂白剤配合の市販洗剤では色素除去には特に効果はなく、洗浄による白さは蛍光増白剤に依存していることが確認された。酸素系漂白剤の環境負荷について、河川水中での分解速度はpH、温度ともに高いほど速く、特に過炭酸ナトリウムについては夏季ではかなり速く分解する。界面活性剤の濃度が濃くなるとCOD値も高くなるため、界面活性剤の減量化が望まれ、このための対策の一つとして漂白剤の有効利用が望まれる。

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© 2004 一般社団法人 日本家政学会
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