一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
(一社)日本家政学会第56回大会
セッションID: 2-1-47
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二倍体および四倍体ショウガの二次代謝成分
*西川 和孝後藤 昌弘山中 博之田中 章江澤 蘭前田 英雄
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抄録

[目的]食用および薬用として期待される四倍体ショウガ(2n=44)は二倍体(2n=22)に比べ大型化することが報告されているが,四倍体ショウガの有用成分についての報告はほとんどない。そこで,二倍体および四倍体ショウガの二次代謝成分である精油成分と辛味成分の定性・定量分析を行い,四倍体ショウガの食品としての有用特性を明らかにすることを目的とした。
[方法]ショウガは高知産の‘黄金の里’を用いた。Adaniya,Okada らの方法により,四倍体の作出および確認を行った。ショウガ根茎中の精油成分は,GC,GC-MS 分析,辛味成分は,精製・単離後,NMR 等のスペクトルデータによって構造決定した。
[結果]ショウガ根茎中の精油成分を分析した結果,17種類の成分を同定した。二倍体および四倍体ショウガともにセキステルペン類の組成率が高く(約 54_から_59%),その中でもショウガ特有の香りである zingiberene が最も多かった(32_から_34%)。また,今回検出したほとんどの精油成分の組成率について,二倍体および四倍体間で有意差は認められなかった。辛味成分に関しては,四倍体ショウガ根茎から,[6]-gingerol (1) および [6]-dehydroparadol (2) を単離・精製した。さらに,化合物 (1, 2) と zingerone (3) を指標として辛味成分を HPLC 分析の結果,二倍体および四倍体ショウガ間で含量に有意差は認められなかった。以上の結果から,四倍体ショウガの有用二次代謝成分は二倍体ショウガと同程度保持されており,その食品としての有効性は変わらないと考えられた。

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© 2004 一般社団法人 日本家政学会
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