一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
57回大会(2005年)
セッションID: 2P-40
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運針における手指の動きの解析による指導方法への一考察
*大村 知子布施谷 節子平林 優子
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抄録

【目的】被服の調達には既製服の利用が主流となった今日、子どもたちが針や糸を使用する機会は減少している。一方、小・中学校家庭科の授業時数の削減に伴い、効率の良い被服製作実習を行うことが新学習指導要領実施の課題とされ、その対応には、児童・生徒の技術の実態にそくした指導方法の検討が必要である。
そこで、本研究では最も基礎である並縫いの指導方法に関する基礎資料を得ることを目的に運針時の手指の動きの解析を試みる。
【方法】被験者は教育学部に在籍する学生4名である。実験方法は、各被験者が並縫いを計5回実施し、手指を中心に上半身をビデオカメラ2台で撮影して、左右それぞれの第一指の先端点、第二指の先端点と第二関節、第三指第二関節、手首点の動きを追跡した。運針は、1回目が被験者の任意の方法、2回目はプリント教材による方法の説明後、3回目と5回目は5分間の練習後、4回目は師範と個人指導を行った後に並縫いを行った。動作解析は、表一目、裏一目を作る動作を1ラウンドとした時の、縫い始めからおよそ30秒経過後の1ラウンド半を抽出し、二次元動作分析システム(ヒューテック株式会社)を用いた。
【結果】講義による指導では、正確な針および布の持ち方も理解できておらず、並縫い動作の軌跡に差異は認められなかった。これに対し、師範や個人指導により理解すると、運針時の軌跡が一定となり、縫い目のばらつきも少ないなど技術の向上様相が動作解析によって捉えられた。

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© 2005 一般社団法人 日本家政学会
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