一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
58回大会(2006年)
セッションID: 2Ba-2
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口頭発表 被服
婦人服選択支援のための3次元体形と着装シミュレ-ションによるデザイン評価 (Part1)
3次元体形イメ-ジ評価による体型分類
*増田 智恵村上 かおり平林 由果
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抄録

【目的】通販などの利用率が4割近くを占め,インターネットなども利用した婦人服の直接販売が拡大しつつある.注文前に具体的に個々の体形に選択したデザインを,シミュレーションで仮想的に示し,着心地や似合い度などについて確認できるシステムが必要である.Part 1では各年代の成人女子を対象に,衣服のデザイン選択を支援するための基本の人体形状について,3次元体形イメージを把握する.
【研究方法】 1) 2004年8月から2005年1月に,非接触3次元カラー人体計測器(VOXELAN LPW-1800W:計測時間6から10秒)により,成人女子72名(20代-70代)の3次元体形を計測した.2) 3次元体形の前面,左右側面,背面図を作成し,全体体形6イメージと部分体形19イメージについて5段階評価を行った.評価者は平均年齢46歳の成人女子81名である.多変量分析により体形イメージを抽出した.
【結果および考察】1) 主成分分析の結果,肥満系-痩身系・理想的な・標準的な全体体形,脚の長さ-胴の長さなどの部分体形のバランス,女性的な-男性的なの全体体形のライン,肩・背部の部分体形,姿勢・脚の部分形状が抽出された(累積寄与率82.14%). 2) 主成分得点を用いてWard法によるクラスタ分析を行い, 3次元体形イメージを六つの体形イメージに分類した.各クラスタの感性的体形イメージと年代の特徴をまとめると,(1)短脚胴長のやや華奢な女性的体形イメ-ジの20-60代のバラツキのあるグループ,(2)脚・腕細く,胴のくびれたプロポーションの良い理想的・痩身系の女性的体形イメージで,30-60代のグループ,(3)バスト小の猫背でやや腹部が出るなど部分的体形イメージに特徴のある30-60代のグループ,(4)腹部の突出をはじめ部分体形が大きく,丸みのある肥満系の体形イメージで60代,70代の多い30-70代グループ,(5)肩幅が広く,怒り肩で平背,バスト・ヒップもやや大きく,丸みのあるやや女性的で太った体形イメージの30代後半から50代の多い70代までのグループ,(6)やや肩幅が広く,怒り肩傾向の男性的体形イメージが抽出された.以上の結果,3次元着装シミュレーション用モデルとして20-40-70代の日本人の平均体型人体モデルを,3つの体形イメージの代表に選択して,着装シミュレーション用人体として形成した.

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© 2006 一般社団法人 日本家政学会
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