一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
58回大会(2006年)
セッションID: 1Ca-2
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口頭発表 被服
洋髪と銘仙
*今村 綾子石井 美奈子
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キーワード: 洋髪, 銘仙, モダン
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抄録

目的 明治時代に始まった「洋髪」は、近代的で新しい髪型とされ、女性達の間で流行した。また、大正から昭和にかけて流行した着物「銘仙」は、従来の着物とは違い「おしゃれ着物」として女性達の間で流行した。当時の写真などを見ると、銘仙姿には洋髪のスタイルが多く見られ、今までの着物姿のイメージとは違ったものを感じさせる。そこで、銘仙が他の着物と違うことや洋髪とのイメージの類似点に着目し考察することを目的とした。
方法 洋髪に関する文献、雑誌等を調査し、銘仙と洋髪の関係性を考察する。また、銘仙流行当時の雑誌や資料を中心に銘仙流行の時代背景について調査考察する。
結果 文献調査より、銘仙と洋髪は共に、流行した時代や時代背景がほぼ同じであることが分かった。洋髪は、従来のヘアースタイルと比べると経済的で利便性に富み、人々にとても新しい感覚を与えた。それはおしやれとされ、女性達が個性を主張し、大きく変化するきっかけとなった。これにより、洋髪は女性達の在り方を変え、女性達が大きく活躍する一つの材料となったのではないだろうか。また、銘仙の柄も他の着物と比較すると西洋的であり、柄が単純化されとても近代的である。そして、銘仙や洋髪はおしゃれの対象であり、人々は新しさを求め、銘仙や洋髪によりその人自身の個性を大きく表現しているといえる。その背最には近代化を意味する「モダン」という言葉がある。このことから、銘仙と洋髪を求める人々は、近代的で新しい文化を積極的に取り入れ、おしゃれを通して自分白身の個性を主張していこうとするという点で共通するところがあり、銘仙と洋髪は密接に関係しているのだといえる。 

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