一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
58回大会(2006年)
セッションID: 1P-33
会議情報

ポスター発表
ケルセチン色素とCu2+の相互作用
*小林 優子鈴木 恒夫
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

目的 タマネギ外皮中のケルセチン色素は,金属と錯体を形成することが知られている.またCuは植物染色の媒染剤として使用されており,その染色布はCu2+に由来する抗菌性をもつことが報告されている1).そこで,通常はゴミとして廃棄されているタマネギ外皮の有効利用を目的に,ケルセチン色素とCu2+の水溶液中での相互作用について検討した.方法 ケルセチンをメチルアルコールに溶かし,必要に応じて蒸留水で希釈し実験に使用した.Cu2+として酢酸銅を用いた.Cu2+の濃度を一定とし,ケルセチンの濃度を1倍,2倍,3倍,4倍,5倍と変化させ,水溶液の経時変化を分光光度計で測定した.また,水溶液のpHも変化させ,同様に観察した.結果 Cu2+とケルセチンを混合した水溶液のNaOHによる滴定ではpH6.1_から_pH6.3,及びpH8.6_から_pH8.7に緩衝域がみられた.pHの調整を行わない状態(およそpH4.8)において,Cu2+を添加することで,3時間経過しても吸光度の低下が押さえられた.Cu2+とケルセチンの濃度比が1:2でpH6の条件では,時間経過とともに吸光度は低下していく.しかし濃度比が1:4においては3時間後では低下するものの72時間後には,再度,吸光度が上昇した.これらの変化はCu2+にケルセチンが4座配位するまで不安定な状態が続いたと推測される.また媒染時間が20_から_30分の染色条件では,1回の媒染ではケルセチン色素とCu2+の結合が不安定な状態であることが示唆された.[文献] 1) 三村,中島;長野県情報技術試験場研究報告(2003) 

著者関連情報
© 2006 一般社団法人 日本家政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top