一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
58回大会(2006年)
セッションID: 1P-44
会議情報

ポスター発表
浴室の匂いと発生場所について
*堤 徹石田 浩彦久保野 由美平山 良一矢部 恵美長谷川 義博
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

目的 浴室の匂い意識・実態について調査すると,その匂いを気にしている人は44%で,排水口からの匂いが原因であると考えている人が77%にも上る(web調査;2004年10月実施,N=396).そこで,浴室の匂い対策のために匂いの原因成分と発生場所を,事前に浴室の匂いのする家庭を訪問し(N=14),そのうち匂いの強い家庭(N=5)について調べた.方法 浴室の匂いを以下の手法で採取し,それぞれの原因成分を分析した.1)排水:排水口内の汚水中に入れたTwister(Gerstel社製)に匂い成分を吸着させ,GC分析を行った.2)床・浴槽:採取面(3×3cm)に蒸留水2mLを塗り,水中の匂い成分をTwisterに1時間吸着させ,GC分析を行った.3)空間:浴室内の空気をTenax吸着管に30分_から_10時間捕集し,加熱脱着システム(TDS)-官能GCおよびGC/MS分析を行った.結果 1)排水からは,腐敗由来と思われる匂い成分として,カビ臭(1-オクテン-3-オール,2-メチルイソボルネオール,ジオスミン),硫黄系成分(スルフィド類)を検出した.2)一方,床・浴槽からは,皮脂酸化などに由来の匂い成分(ノナナール,デカナール,ラウリン酸など)を検出し,硫黄系成分(スルフィド類)も検出した.3)捕集した浴室の空気のTDS-官能GCでは,腐敗由来と思われる匂い成分(カビ臭),皮脂の酸化などに由来の匂い成分(アルデヒド臭,脂肪酸臭)の両方を確認した.よって,浴室の匂いは排水口からのカビ臭ばかりではなく,皮脂酸化に由来の匂い成分の寄与も高く,匂い対策には排水口だけではなく,床・浴槽も重要であることが示唆された.

著者関連情報
© 2006 一般社団法人 日本家政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top