一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
58回大会(2006年)
セッションID: 1P-50
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ポスター発表
ファッション・セラピーの事例研究
特別養護老人ホーム入所男性に対する試み
*泉 加代子長谷川 里紗三木 舞子
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抄録

目的 我が国の高齢化率は2005年9月に20%を超えた。今後ますます増えると推定される要介護の高齢者を減少させることや要介護度の維持・改善の対策が重要な課題である。被服が介護状態の維持・改善に役立つと考えて、泉らはこれまでに要介護の高齢女性を対象としてファッション・セラピーを実施し、対象者全員に何らかの精神状態や日常生活の維持・改善の効果が認められたことを報告している1)2)。そこで、本研究では要介護の高齢男性を対象としてファッション・セラピーを行い、その効果を検討する。
方法 対象者は京都府下の特別養護老人ホーム入所男性4名(1名は入院のため中止)で、人選は施設職員に依頼した。実施期間は2005年6月_から_12月の7ヶ月間、回数は約3週間に1回の間隔で計8回である。実施内容は、まず対象者にその日の健康状態と着用している被服について尋ね、服装への関心を高めるために服装写真を呈示した。次に被服を用いてコーディネートの提案を行った。実施中の様子をビデオ撮影し、観察法の参考資料にした。また、ポラロイド撮影した写真をその場で対象者に見せた。初回時と最終回時には施設職員に老人精神機能評価尺度(NMスケール)と生活能力評価への回答を依頼した。
結果 a氏は病気で常に眠気におそわれるため面談も毎回は困難で、NMスケールの評価が低下した。b氏は自己の認識ができないほどの重度の認知症であるが、NMスケールの評価が上がった。普段着用しないワイシャツを着ると変化が見られた。d氏は当初服装に関心がなかったが、回を重ねるごとに服装への関心が高まり、NMスケール、生活能力評価ともに改善の効果が認められた。[文献] 1)泉加代子他;日本家政学会第56回大会研究発表要旨集、p.157(2004) 2) 泉加代子他;日本家政学会第57回大会研究発表要旨集、p.74(2005)

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© 2006 一般社団法人 日本家政学会
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