一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
59回大会(2007年)
セッションID: P-10
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トップピースの耐摩耗性に関する検討
*角田 由美子寺嶋 眞理子石川 亜沙美中島 健
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抄録

目的 ここ数年、ヒールが高くて細いスチレットヒールの婦人靴が流行している。これらの靴のトップピースは、歩行により著しい摩耗や変形あるいは脱落を受けやすいといわれているが、その実状は明らかにされていない。したがってトップピースの形状や素材が耐摩耗性におよぼす影響を靴の着用試験により検討した。
方法 トップピースの耐摩耗性の現状を明らかにするために、低価格のスチレットヒールの婦人靴を収集し、これらのトップピースについてISO 20871により摩耗量を測定した。次にヒール高5cmの細いヒールと太いヒールの婦人靴に同じ素材のトップピースをつけて、女子学生10名を被験者として10万歩までの着用試験を行った。さらにトップピースの素材による摩耗量の違いを明らかにするために、細いヒール靴に各種の素材(ゴムやポリウレタン)のトップピースをつけてそれぞれ3万歩まで着用した。なおゴムのトップピースは、太いヒール靴についても同様に着用試験を行った。これらについてトップピースの摩耗量と寸法の変化の測定および官能評価を行った。
結果 (1)市場調査の結果、著しく摩耗量が多い靴が観察された。(2)細いヒール靴の10万歩後の摩耗量および形状の変化は、太いヒール靴よりも著しく、ヒールの細い靴が摩耗しやすいことが明らかとなった。(3)ゴムのトップピースを細いヒール靴につけて着用すると、被験者の20%が1万歩で鉄芯が見える状態まで摩耗し、他の被験者は3万歩までの間に同様な状態が観察された。しかし、ゴムを太いヒール靴につけた場合には、ほとんど摩耗が認められなかった。これらからヒールの太さにより、トップピースの素材を選定しなければならないことが明らかとなった。

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© 2007 一般社団法人 日本家政学会
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