一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
59回大会(2007年)
セッションID: P-203
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学寮における夏期の寝室環境の睡眠に及ぼす影響
*後藤 和貴子浦野 千代美磯田 憲生久保 博子
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キーワード: 睡眠, 寝室, 温熱環境
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抄録

目的:高温多湿な夏期において快適な睡眠環境を得ることは非常に困難であり、通風などの工夫がされている。しかし近年防犯の意識が高まり、窓を施錠しエアコンを使用する例が増えている。本研究は実空間において窓開閉、エアコン使用による条件を設定し、夏期の温熱環境が睡眠前後・睡眠中の生理心理反応に及ぼす影響についての検討を行う事を目的とする。 方法:被験者は健康な女子大学生9名を起用し、奈良女子大学学生寮にて終夜睡眠実験を行った。条件は「エアコン3時間タイマー」、「エアコン連続使用」、「窓閉鎖」、「窓開放(扇風機:弱)」の4条件とし、エアコンを使用した条件では設定温度27℃、風速自動で運転し、実験中の室内環境、脳波、直腸温、皮膚温などの生理反応及びOSA睡眠調査、主観的温熱申告などの心理反応を測定した。 結果:室温はエアコンの運転状況により大きく影響を受け、「エアコン3時間タイマー」ではタイマー運転中は26℃程度であったが終了後には30℃近くまで上昇した。「エアコン連続使用」では終夜26℃程度でほぼ一定であったのに対し、「窓閉鎖」では終夜30℃程度で上昇傾向がみられた。室温は寝床および衣服内環境に大きく影響しており、「エアコン連続使用」及び「窓開放」と、「窓閉鎖」との間に大きな差がみられた。また室温は生理反応にも影響し、皮膚温、直腸温、体動量などに有意差がみられた。しかし、「エアコン連続使用」条件では主観評価は良いものの若干の冷えが見られ、人体への影響が考えられること、「窓開放」条件では室温が29℃前後にも関わらず、最大0.4m/s程度の風速があり、主観評価も悪くないことなどから、この結果を踏まえ、今後さらに快適な寝室環境の条件を検討していく必要がある。

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© 2007 一般社団法人 日本家政学会
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