一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
59回大会(2007年)
セッションID: P-411
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茶殻の炭化及び賦活処理による再資源化の試み
*片平 理子矢ヶ崎 隆義
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抄録

目的 ペットボトル入り緑茶飲料の消費増に伴い、飲料の製造工程から排出される抽出残渣(以下、茶殻)は年間6万t以上に達しているが、その大半は産業廃棄物として焼却あるいは埋め立て処理されている。本研究では、茶殻に炭化処理及び更なる機能化を目指す賦活処理を施し、得られた茶殻炭化物の各種ガス物質吸着能を評価することにより、茶殻の再資源化の可能性を検討した。これと併せ、炭化物が吸着した有害物質の分解及び再資源化処理コストの低減を目的とした炭化物発電の可能性を探るために、燃焼についても検討を加えた。
方法 市販煎茶の抽出残渣を送風乾燥して粉末としたものを試料とし、精密制御型バッチ式炭化炉にて大気圧下・30分間炭化処理を行った。更に、この炭化物を水蒸気発生装置を付帯した管状赤外線イメージ炉に導入し、750℃・30分の水蒸気賦活処理を施した。得られた炭化物及び賦活炭化物の比表面積と細孔分布測定、表面微細構造の観察を行った。また、3種のガス(ホルムアルデヒド、エチレン、アンモニア)の吸着能を、検知管によるガス濃度測定により調べた。
結果と考察 試料粉末の熱重量曲線を基に3条件(400℃、550℃、700℃)で炭化及び賦活処理を行った結果、収率及び比表面積から550℃が最適条件であると考えられた。茶殻炭化物のガス吸着の初速度は、市販ヤシ殻活性炭のそれに比べてやや劣ったものの、時間をかければ対象ガスを同程度吸着することが明らかとなった。また、炭化に続く賦活処理によりガス吸着効率が向上した。更に、炭化物の発熱量は5000kcal/kg以上が確保され、燃料としての適性が認められた。以上より、茶殻の炭化処理により再資源化を図れる可能性が示された。

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© 2007 一般社団法人 日本家政学会
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