一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
59回大会(2007年)
セッションID: B1-6
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洗濯環境の変化が衣類に与える影響について(第一報)
*兵藤 亮金田 英之田村 直也大熊 洋一宮前 喜隆掬川 正純
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抄録

目的 最近の生活者の環境や衛生に対する意識の高まりやライフスタイルの変化から、洗濯環境も大きく変化している。特に洗濯機の大型化や節水コースを特徴とする洗濯機の普及が進み、たくさんの衣類を少ない水で洗濯する、いわゆる低浴比洗濯へのシフトが進んでいる。今回は、このような洗濯環境の変化が衣類に与える影響を、衣類ダメージの観点から把握することを目的とし検討を行った。

方法 全自動洗濯機を用いて綿や化繊など各種衣類・タオルなどを処理し、浴比の変化や繊維の種類の違いによる影響を調べた。また、洗濯浴中の衣類における摩擦低減効果のある基材を探索し、実洗濯における効果の確認を行った。

結果 毛羽立ちの観点からはいずれの衣類においても、浴比の低下に伴いダメージが大きくなる傾向にあることがわかり、特に綿素材のニット地などでは顕著であった。このことからも、洗濯浴中に衣類が詰め込まれるほど被洗物の繊維に与える悪影響が大きくなることが示唆された。この結果を受け、衣類ダメージは衣類同士の摩擦が原因となるものと仮定し、摩擦を低減する基材をスクリーニングし実洗濯において検証したところ、CMCなどのセルロース誘導体の一部に効果があることがわかった。今後、環境に配慮した水を大切にする洗濯の中で、洗濯時に生じる摩擦を抑制していく機能は、衣類を長持ちさせ資源を大切にする観点から重要な技術になると考える。

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© 2007 一般社団法人 日本家政学会
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