一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
59回大会(2007年)
セッションID: D1-6
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伝統発酵食品(へしこ)の製造工程における成分変化と微生物について
*藤井 可奈佐藤 香澄加藤 みゆき庄司 善哉大森 正司
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キーワード: へしこ, ヌカ, サバ, 発酵食品
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抄録

【目的】北陸地方では米、魚、野菜などを利用して加工し、冬季期間中の食卓を構成する主要な素材となっている。 へしこは若狭地方の郷土料理のひとつで、内臓とエラを除去したサバを約1週間塩漬けした後、米ヌカと調味料を合わせたヌカ床に漬けこみ、半年から約1年熟成させたものである。これは伝統的な発酵食品の一種であり、原料の魚やヌカとは全く風味が異なる美味なものへと変化している。つまり微生物がこの間に大きく関与していることが示唆される。そこで本研究では、へしこの嗜好性とともにへしこの製造工程における成分変化と微生物との関わりを明らかにすることを目的として実験し、知見が得られたので報告する。
【方法】米ヌカは福井米(コシヒカリ)から、へしこ(サバのへしこ)は福井県枩田商店で製造したものを用いた。まず、米ヌカとへしこ及びへしこヌカの一般成分分析(糖質、タンパク質、脂質、水分、アミノ酸等)を行い試料間の相違点を検討した。へしこから普通寒天培地を用いて微生物を分離し、グラム染色、アミラーゼ活性、プロテアーゼ活性等を測定することにより微生物の特徴を明らかにした。
【結果】_丸1_へしこヌカ中の脂質含量はヌカに比べ増加した。米ヌカ中の水抽出物ではGABAが最も多く25.3mg/100g又、ヌカの加水分解物ではArgが最も多く3472.2mg/100gであった。米ヌカをブタノールで抽出するとGluが最も多く324.9mg/100gであった。_丸2_へしこより普通寒天培地を用いて微生物を分離して30株を得た。これをゼラチン液化試験を行うことにより、液化力の強い14株を得た。この14株を用いてグラム染色、及びプロテアーゼ活性を測定し、その活性が強く認められた5株を得た。

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© 2007 一般社団法人 日本家政学会
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