一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
59回大会(2007年)
セッションID: I1-1
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鹿内瑞子旧蔵資料からみた昭和20年代の小学校家庭科
東京女子高等師範学校卒業生と家政学専門職に関する研究の一環として
*八幡(谷口) 彩子
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抄録

目的 筆者は、戦前、東京女子高等師範学校において、どのような家政に関する教育が行われ、それを学んだ卒業生が専門性を活かしてどのように社会貢献を行ったのかについて研究を進めている。本研究では、東京女高師家事科の卒業生で、のちに文部省教科調査官となる鹿内瑞子氏の旧蔵資料をもとに、昭和20年代の小学校家庭科と、そこに鹿内氏がどのように関わったのかについて検討することを目的とする。
方法 本研究で用いた資料は、鹿内氏の逝去後、林雅子氏らが分類整理し、東京書籍での委託保管後国立教育政策研究所に移管され、2006年5月より同教育図書館で公開された鹿内瑞子旧蔵資料1139点のうち、昭和20年代の小学校家庭科に関する資料15点である。
結果 (1)鹿内(旧姓:中島)瑞子氏(1915-1981)は1937年東京女高師家事科を卒業。1941年同研究科(日本教育史専攻)修了、同校教育室勤務等を経て、1947年から1976年までの約30年間、小学校家庭科を中心とする教育課程行政に従事した。(2)鹿内瑞子氏の旧蔵資料によれば、戦後の小学校家庭科の発足期に、家庭科存続を求める地方教員からの要望書の中に家庭科教育の本質に関する言及がみられるとともに、新しい家庭科教育のあり方について、各地で検討が行われていた。(3)昭和20年代、鹿内氏は、教科書局事務嘱託、事務補佐員、文部事務官として文部省初等中等教育局に勤務。家庭生活と両立しながら、精力的に新しい家庭科創設に向けて活動を開始し始めた時期であったことが伺われる。

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© 2007 一般社団法人 日本家政学会
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