一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
59回大会(2007年)
セッションID: M1-4
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家庭科における食情報に関する学習内容の考察
-日米の教科書等の検討を通じて-
*萱島 知子井川 佳子
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抄録

【目的】 食品の機能性に関する情報が氾濫している現状への対応として,生活者が適切な食情報を入手するための環境整備が数年前から政府やその関連機関によって推進されている。一方で生活者個人が適切な知識や態度をもって食情報に接することが肝要であり,そのためには学校教育を含めた学習の場が必要になると考えられる。この研究では,マスメディアから提供される食情報,特に食品の機能性に関するものに注目して,家庭科教科書等の記述を検討し,家庭科の学習内容を考察することを目的とした。
【方法】 日本の中学校から高等学校のレベルに相当する米国の家庭科教科書(5冊),日本の中学校および高等学校家庭科の学習指導要領,教科書(中学校2冊,高等学校19冊),指導書を対象とした。マスメディアから提供される食情報,特に食品の機能性に関するものに注目して,記述を調査した。
【結果】 1)米国の教科書全5冊で食情報に関連する記述があった。食品の機能性に関する情報への対応を詳細に記述しているものもあり,情報を批判的に思考し判断するための要点の例示がなされていた。2)日本の学習指導要領では,生活情報に関する記述はあったが,「食情報」という用語は使われていなかった。中学校教科書全2冊と高等学校教科書19冊中6冊で,食情報に関連する記述があった。情報に惑わされないという態度を提示しているものもあったが,具体的な対応はほとんど示されていなかった。3)食情報,特に食品の機能性に関する情報について批判的に思考するための具体的な対応が,家庭科の学習内容として必要と考えられ,そのための方策を提示した。

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© 2007 一般社団法人 日本家政学会
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