一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
59回大会(2007年)
セッションID: F2-10
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品種の異なる米粉を用いた米粉パンの製パン性に関する研究
*高橋 良子大越 ひろ藤井 恵子
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キーワード: 米粉, 粘度, 粒度, パン, 物性, 製パン性
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抄録


【目的】米粉は小麦粉における強力粉、薄力粉のようなたんぱく質含量による区別はないが、粉の種類によって製パン性が異なる。本研究では、米粉パンを製造する際に、最適条件を決定するために必要となる知見を得ることを目的として、品種の異なる4種の米粉を用い、粒度分布や平均粒径など、粉体特性の観点から、製パン性に与える影響について検討を行った。
【方法】品種の異なる4種の米粉に蒸留水、砂糖、ドライイーストを添加して生地を調製し、210℃のオーブンで24分焼成して米粉パンを作製した。米粉の特性として粒径、水分含量、色度を測定した。生地に関してはバッターの粘度(回転速度12rpm、2分後)、発酵中の生地膨張力を測定し、米粉パンに関しては高さ、比容積、色度を測定した。
【結果】米粉の種類により粒度分布や平均粒径が異なり、膨化に必要な加水量も異なった。米粉を3種類の粒径(大は75μm以上、中は38~74μm、小は37μm以下)に篩別して製パンしたところ、粒径を揃えても米粉が異なると製パンに必要な加水量は同じにはならず、製パン性には粒径以外の要素が関与していることが明らかとなった。また、分粒後の米粉を用いるとバッター生地の膨張力が低下し、パンの膨化には米粉の粒径が揃っているより適度な粒径のものが混在しているほうが良いことが示された。さらに、米粉バッターの粘度は米粉のたんぱく質含量の影響が大きく、たんぱく質含量が少ないほど膨化に適した加水量の幅が小さくなり、いずれの米粉を用いてもバッターの粘度を10Pa・s前後に調製することによって、比容積の高いパンを製造できることが明らかとなった。

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© 2007 一般社団法人 日本家政学会
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